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名古屋城【2】 500億円かけて天守閣を木造再建する話

名古屋城本丸御殿 東海

SRC造・外観復元の天守閣

名古屋城は明治維新のときまで尾張徳川家の居城であった。
徳川家は幕末の歴史の中で倒れ、そのために明治政府に対し、当主が徳川の象徴である名古屋城の取り壊しと金のシャチホコの献上を申し出たのだが、心ある人々が山縣有朋に保存を願い出て、これを文化財として後世に残すことを決めて事なきを得ている。

名古屋城

Nagoya Castle / Photo: J Matsumoto

徳川家が幕末に賊軍指定されたからといって、なぜに城を壊さねばならないのか理解に苦しむが、黄金でできているシャチホコを国の整備ため、国民のためにその財を転換しようとした気持ちはわかるような気がする。

妙なけじめのために文化財が破壊されずに済んだものの、結局は第二次世界大戦の名古屋空襲で燃えてしまうことになる。昭和5年に旧国宝に指定されたほどの名城であった名古屋城は、昭和20年に焼け落ちた。
それでも、戦後、地元の人々や全国の方たちの寄付によって、1959年に鉄骨鉄筋コンクリートで再建され、現在に至っている。
「SRC造・外観復元」というらしい。オリジナルは国宝であったが、再建されたものは残念ながら国宝ではない。

再建の工事費約6億円のうち、約2億円を市民の寄付で賄った。まだまだ余裕のない時代に、歴史建造物を蘇らせるために寄付をした人々が多く存在したことに胸が熱くなる。

木造再建する話が進んでいる

個人的な意見であるが、名古屋城はやはり名城であると思う。
再建であろうと、なかろうと、やはり名古屋城に行ってよかったと感じた。
というのも、展示物は歴史好きに応えてくれる内容であるし、現在、本丸御殿の一部が天守閣の横に堂々と復元され、竣工されたばかりの桧のアロマにつつまれて襖絵(再現)を見ることができるのだ。

本丸御殿(The Hommaru Palace)

本丸御殿

The Hommaru Palace

本丸御殿

慶長20年(1615)に尾張藩主の住まいとして建てられた表書院を復元。

名古屋城本丸御殿

名古屋城本丸御殿

Bamboo Grove, Leopards and Tigers on the walls and sliding doors

名古屋城本丸御殿

Weasels

Weasel

Weasel

天守閣の隣で「どうぞご自由に見学してください!」と呼びこみをしていたので、ヘルメットをかぶってプレハブ小屋へと入っていくと、下の写真の光景を見学することができた。
名古屋城は、名古屋市は、本気なのだと分かった瞬間だった。

本丸御殿

再建中の様子を見学できる

昔のものを再建するとしても、現代技術を駆使して再現しようとしている。
御殿であれ、襖絵であれ、技術の伝承は造ってこそなのだろう。
本丸御殿は2018年に復元が完了する予定らしいが、その途中のものを見ただけでも、よくぞ素晴らしい日本の美を蘇らせてくれたと感動したし、本気で往時の姿を世に出そうと意気込んでいるのが伝わって来た。

なお、いつでも復元工事を見学できるわけではないようだ。詳細は下記へ。

External Links>>復元工事の見どころ紹介

天守閣の復元、二転三転、そして505億円で動き出した!

しかし、ただの再現では足りないと考えている人がいる。
天守閣は本来木造であった。だから、木造での再現をしよう、と。

名古屋城模型

木造模型

この再建案、当初は総工費は350億円以上といわれていた。節のない国産の檜を使って復元した場合は約400億円。いやいや、その後500億円にのぼった。

そしてついに2017年3月の名古屋市議会で名古屋城天守閣の木造復元に向けた約10億円の関連予算案を可決。505億円に試算し直されており、まさに巨額プロジェクトだ。
文化庁は記録に基づく木造復元以外の再建は認めない方針で、再建するなら木造しかないということで話が進められていた。戦後に鉄筋鉄骨コンクリートで再建された天守閣の木造復元は全国初という。

観光目的の割に一大事業を成し遂げる覚悟がいることになる。

17世紀初頭の名古屋城築城のときは、徳川家康という鶴の一声があった。彼の命令は、それに背けば命がないほど絶対的な重みがあった。そして、その当時の目的は、国の為政者が住まう場所を建築することであり、のちに将軍が名古屋に立ち寄った際に宿泊する施設として機能したのだ。

最初から観光目的でこの事業が決定されたら、それは歴史的な話になると言っていたら、ホントにGOとなった。これは凄い。

>>名古屋城【1】 名古屋城は誰の城?

実際に、竹中工務店の案が優秀に選ばれている。(下記CG)

External Link>>名古屋城木造復元CG

二転三転のいきさつ

2016年あたりでは「オリンピックまでの完成を目指す」とか無理だとか言っていた。

議会との折り合いがつけられず、東京オリンピックまでという話はいったんなくなり、せめてリニア開業までに…となったらしい。(下記引用を参照)
ある建築業界の人に聞いた話だが、
東京オリンピック開催が決まってからというもの、土木を含め、建築業界では東京へ職人が引っ張られており、その他の地域では人員の確保が難しく、人件費が高騰しているらしい。400億円が500億円に試算が膨れ上がっているのも、それに関連しているのではないかと推察する。

議会とは結局、完成目標をリニア開業の平成39(2027)年までと見直した上で事業案を練り直すことで一致。関連する補正予算案は継続審議となった。

External Link>>産経WEST_20160722

「いっそのこと、東京五輪後に再建をスタートしてはどうだろう。すでにそういう予定かもしれないが」とブツブツ言っていたら、それに近い話にそうなっていた。。

2022年12月の完成を目指し、木造化が実現に向けて動き出す。(略)工程表によると、市は4月の市長選後、竹中工務店と契約を締結。石垣の一部を壊しながら詳細に調査するため、今年11月にも天守閣一帯は入場禁止となる見通し。文化庁の許可を得た上で現在の天守閣は19年9月に解体を始め、20年6月に復元工事に着手する。

External Link>>日本経済新聞「名古屋城天守閣、木造復元へ 市議会が関連予算可決 」20170324

さて、2017年5月にふたたび名古屋城に行ったら、こんな立て看板をみた。

そして現状の写真。これからが楽しみである。

ミュージアムショップ

名古屋城のミュージアムショップ

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