さっぽろオクトーバーフェスト2015

ドイツのミュンヘンで開催されるオクトーバーフェストの雰囲気を楽しめるイベントが今年も行われた。ミュンヘンと姉妹都市を結ぶ札幌の大通公園がその場所だ。

ちょうどシルバーウィークにぶつかるということもあり、そこそこ盛り上がっているのではないかと期待して、連休のある日、会場の大通公園1丁目、テレビ塔の1階へと足を運んだ。

オクトーバーフェスト

「オクトーバー」というくらいだから、10月ではないのか?と思われるが、調べると、本場ミュンヘンでも9月半ばから10月第一週目の日曜までの会期。ここ札幌でも同じである。
そもそも“Oktoberfest ”は“October”とは違うスペル。もともとは10月の祭りということのようだが、ああいう形態の祭りをオクトーバーフェストと呼んでいる。だから、何月にやろうともOKというわけだ。

札幌の気候は、お盆を過ぎれば秋風が吹き、シルバーウィークともなれば寒いのを覚しないといけない。だが、今年は25℃まで気温が上がるという最高の行楽日和が連休と重なった。
こんな日の大通公園は、まさに市民の憩いの場。ここがあるから、皆札幌が好きなのだといつも思う。

大通り公園

とうきび売り

とうきび売り

ドイツと札幌はビールでつながっている

ビールの祭典であるオクトーバーフェストは、何も札幌だけのものではなく、今や日本中で催されているのだが、実は札幌とドイツは縁浅からぬ間柄。盛況なオクトーバーフェストをしてほしい理由があるのだ。

開拓時代はドイツから技師がやってきて、北海道の近代化に尽力した。
そして忘れてならないのは、江戸末期に中川清兵衛という青年がベルリンビール醸造会社で本格的なビール醸造修行をした。帰国後、彼は北海道開拓使となって、1876年(明治9)に設立された「開拓使麦酒醸造所」においてドイツ醸造法による低温熟成させたビールを誕生させている。「開拓使麦酒醸造所」はサッポロビールの前身である。

つまり、サッポロビールはドイツ仕込みのビール製法を祖としているということだ。だから、ドイツ人に日本のビール各種を試してもらったら、サッポロビールの評価が高めであったという話もある。
サッポロクラシック(北海道限定)は、ビール好きには特に定評がある。北海道に行かれた際は、ぜひ試してほしい。

話は大通公園のオクトーバーフェストに戻って・・・昼前に席に陣取ると、あっという間にドイツの雰囲気とビールを愛する人々で埋め尽くされた。
メニューはドイツビールと北海道のクラフトビールだ。

オクトーバーフェスト

私はドイツに行って、初めてビールを愛した。ただただ苦いもの、クリアーなシュワシュワが苦手であったにもかかわらず、ドイツの多様なビール、それもほとんど苦くない赤ビールや白いビールのおいしさに目を剥いた。コクがあって、味わい深いビール。どれも素材の味わいがあるのが特徴だった。

日本ではなかなか売っていないのが残念でならない。そういう気持ちが消え去らず、このオクトーバーフェストに小麦のビール「ヴァイツェンビール」が出るとあって、友人と一杯ひっかけに行ったのだ。

ヴァイツェンビール

ヴァイツェンビール

ヴァイツェンビール

こちらもヴァイツェンビール

そもそも「ドライ」とか「クリアーな喉越し」とはなんだという気がする。好みといえばそれまでだが、あるバーのマスターいわく「日本ならではちゃうの?ドライだなんて。ビールがクリアとかドライって意味がわからん」と。ましてや、某国の水で薄めたようなビールなど論外。

「実は日本人が懐かしいって思う味のする何かがあれらに入っているんちゃうか。ヒエとか粟とか。だから懐かしくて『うまい』って感じているんちゃうやろか。ドイツやなんかの大麦の割合基準よりも日本のビールは低いからね。あっちは麦芽100%やん?これはビールっていう定義が違う」
そんなうんちくをバーで聞いていたから、ドイツに行って初めてビールが美味しいと思ったのも「さもありなん」と納得した。

「あぁ、またドイツのビールが飲みたいなぁ」と思っていたある日、焼き肉店で生ビール飲んだ。学生時代は恵比寿のサッポロビールに通い、ビールメーカーに勤めようと就職活動までした男性に促され、サッポロ生を注文。

「あ…うまいわ。どうしよう。飲めるわ」
「そうやろ。ドイツビールがうまいと思うなら、サッポロビールも大丈夫なはずやで」
「あれ。何で私はビール嫌いになったのかしら」
「関西にサッポロビールがほとんどおいていないからや」

そういえば、私がビール嫌いになったのは、北海道を出て関西に来てからだった。他メーカーは苦かったりドライだったり、水っぽかったりしたから。

ドイツってスゴイ。そして、日本人の再現能力と教えに忠実な心はもっとスゴイ。

話はそれるが、かのカーネル・サンダースも日本のケンタッキー・フライドチキンがお気に入りでよく食べに来たそうだ。教えたままを忠実に守り続けるのは日本くらいであり、他の地域はそこの好みの味つけにアレンジしてしまい、オリジナル度外視になっているのを嘆いていたのだとか。

これぞドイツ酒場のノリ

席が人でいっぱいになったところで、バンドと歌手が愉快な音楽を奏で始めた。

楽器を持ったお兄さんが登場!

オクトーバーフェスト

それは・・・スイスの楽器っぽいけれども。。ん、耳を澄ませば、ヨーデルのような歌声?
いやぁ、気にしない!

オクトーバーフェスト

オクトーバーフェスト

オクトーバーフェスト

いつしかみんな肩に手をやって、音楽に乗って練り歩く。
そうそう。外国人観光客がよく行くドイツの酒場もこんな感じで盛り上がっていたっけ。

大通公園を一望しようと、テレビ塔のエレベータで見晴らしのいいレストランへと移動した。

大通り公園

ビールは暑苦しいシーズンによく飲まれるけれども、そもそも札幌もドイツもそんなに暑い地域ではない。

だが、不思議なことに、どちらもその食文化で結構な存在感を示し続けている。その土台にあるのは、やはりゆるぎない技術と歴史なのだろう。そんなことを考えながら大通公園を眺めやる。

道民はなかなかテレビ塔に登らない。
が、気まぐれに登った割に、里帰りした者にとってこの景色はグッとくるものがあった。
なぜなら、道民が受ける「北海道の歴史教育」や「過去の札幌」を見聞きするようなときに、この大通公園のモノクロ写真が登場するから。記憶の中のモノクロ写真と現在の大通公園は変わっていないように見えるのだ。

「きっとここは100年後も残るだろう」そう信じて疑わない自分がいる。