“メディア活用の達人”トランプ大統領と映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』

やはりというか、なんというか…トランプ氏が大統領に就任するやいなや、「国境の壁」の実現に向け大統領令に署名したとか。彼は「本当にやりよったわぁ」と酒場のネタとして熱い話題を提供してくれる奇特な男だ。

さて、先日友人宅で新聞のトランプ記事を読んでいると、友人のご主人が言った。
「映画の『バック・トゥ・ザ・フューチャー』でビフ・タネンっていう不良がおったじゃないですか? マイケルJフォックスと敵対するヤツ、トランプがモデルなんですってね。『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の脚本家がテレビでそう言うとったですよ。そういわれてみれば、『バック・トゥ・ザ・フューチャーPART2』のビフがトランプにそっくりで笑いました」

興味のある方は、下記のExternal Linksでビフが美女二人と一緒に入浴している画像があるので、どうぞ。

SF映画「バック・トゥ・ザ・フューチャー(Back to the Future)」シリーズに登場し、主人公のマーティ・マクフライ(Marty McFly)へのいじめを繰り返す悪役ビフ・タネン(Biff Tannen)のキャラクターが、米大統領選挙の共和党最有力候補、ドナルド・トランプ(Donald Trump)氏から着想を得ていたことが分かった。
External Links>>AFP

この記事は大統領選挙中のもので、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』から30年後の2015年に掲載されたもの。

遠い記憶の中のビフを思い浮かべると、笑いが止まらなかった。
『バック・トゥ・ザ・フューチャーPART2』でビフはよく登場する。年老いたビフが『スポーツ年鑑』を持ってタイムマシンに乗り込み、過去の自分に手渡して、過去の彼が競馬やサッカーくじといった賭博で大儲けし、27階立てカジノのオーナーとなって成功。アメリカ全土を支配するというストーリー。
ビフの高層カジノは、映画が公開された1989年の5年前にアトランティックシティーに完成したトランプ・プラザホテルに激似だそうだ。

映画は30年以上前のもので、当時40歳くらいのトランプ氏はすでにあの風貌で金満家として、またエンターテイナーとしても有名であったらしい。久々にPART2を観たら、盛り上がること請け合いだ。
それにしても、この脚本家先生、相当な人間観察力と未来予知能力をお持ちだ。映画の中の未来(つまり、2015年の設定)で、万年優勝できない野球チームのカブスがワールドシリーズ制覇という当時あり得ない姿として描いていたが、なんと誤差1年で本当に優勝したし、トランプがアメリカの頂点に君臨するという話も、ファンからは“予言的中!”と騒がれた。
そうそう、ビフはその後、しょぼくれたオヤジになっていくので、個人的に心配している。。

20年以上前に独自のメディア戦略を学んでいる

トランプ氏はよくTwitterを用いて自己表現をするが、それは20年以上前にメディアの活用について学び、自身の宣伝戦略を展開する手法を身に着けたからだ。大言壮語やら問題発言やらが口から飛び出すと、メディアが取り上げてくれるとして、注目されるための手段にしてきた。

「センセーショナルな話ほど受ける。人と違ったり、大胆なことや物議を醸したりするようなことをすればマスコミが取りあげてくれる」「不愉快に感じるような批判的な記事でも、ビジネスには大いに役立つこともある」
>>External Links>>朝日新聞

「暴言王」などともよばれ、その一方で人気者になっていったから、彼は新旧のメディアを熟知するパフォーマンスの達人でもあったわけだ。

過去はテレビや新聞・雑誌といったトラディショナルなメディアを活用していたであろうが、選挙戦を通じてこれまでお世話になった既存のメディアを逆に批判するという手法に出て、過激ツイートなど新しいソーシャルメディアでの発信を重視する方へとシフトした。話題になると、スマホ検索でさらに注目を集めるという、凄い効果を生んだ。

国境の壁などの過激発言でテレビ視聴率は上がるし、広告収入は増えるしで、メディアも相当美味しい思いをしたらしい。「時代が求める人」という意味においてはそう間違っていないと思う。しかし、国の舵取り役、世界に影響力あるリーダーという意味においては、なかなかの危険人物としてマークされてしかるべきだろうから、身の安全には十分注意したほうがいい。

 

Owned Media(オウンドメディア)=自社メディアの時代

"Owned Media”という言葉をご存じだろうか? まだまだ浸透していないかもしれないが、自社でメディアを持つことを言い、BtoBであれBtoCであれ、自社で発信するためにネットを活用するマーケティング戦略である。

日本は立ち遅れているらしいが、Owned Mediaはアメリカではその傾向が強く、またヨーロッパでも盛んに活用されているとか。
特に日本のBtoBでは、もともとトラディショナルな広告が効果的ではないため、あまり活用されてこなかった。そこへさらにOwned Mediaのようにコーポレート・サイトやブログ、SNSといった多様なメディアを駆使して、企業または製品認知度を上げていく手法が重要性を増している。既存メディアを使って従来型の広告を打つというのは、もはや時代遅れとすら感じるほどだ。

大手広告代理店は、既存の広告媒体とがっちり組んできた歴史がある。媒体費が高い=代理店としての収入が多いからだ。
そういうわけで、何かイベントをするとき、「テレビを利用しませんか?」と来る。BtoB企業であるのに。タレントを使って「大々的にやるならこういう見せ方はどうか」と提案するのだが、準備も費用も露出も打ち上げ花火級で、どれほどの時間とお金を費やしても、一瞬で終わる。そのうえ、その広告がどんな効果があったのか測定できないから、投資する側は悶々とするわけだ。

その点、Webはデータ解析ができるから、トライ&エラーで学べる要素が多いのかもしれない。
もっとWebを活用しないと後れを取るだろうことは皆よくわかっている。

メディア戦略を手掛けるある外国人が言った。「トラディショナルな広告とOwned Media、どちらもやったほうがそりゃいいんですけどね」と。
トランプ氏の選挙戦略を振り返るといい。過激発言連呼で既存メディアに対して視聴率が上がりそうなニュースのネタを提供し、同時にTwitterを利用して2000万人とも言われるフォロワーに発信しているのだ。
よく大統領選挙は「SNSなどの新しいメディアを利用した勝利」というようなことを言われているが、いやいや、既存のメディアも相当利用している。

今どきのプロパガンダの達人として、トランプ氏は教科書的存在になるかもしれない。

大衆操作

>>プロパガンダ【1】大衆操作に飲み込まれる人々